長寿や感染症対策に活躍!腸内フローラを支える酪酸菌を増やす食べ物
こんにちは!goodtablestyleです。
健康番組やネットメディアにて盛んに話題になっている「腸内フローラ」「腸内細菌」「腸活」という言葉。
一般的に腸と言えば、消化・吸収の最終段階の臓器で、関心ごとと言えば便秘や下痢などのお通じに関することですよね。
しかし最近の研究では、腸内細菌が肥満やアレルギー、免疫機能、生活習慣病、認知症にもかかわりがあることがだんだんわかってきました。
そして腸内細菌と言えば、「ビフィズス菌」や「乳酸菌」が有名ですが、今日は長寿やコロナウイルスをはじめとした感染症にも有効な「酪酸菌」をご紹介しようと思います。
今日のお題目「酪酸菌」
①腸内フローラとは?
②善玉菌・酪酸菌の働きとは?長寿や感染症との関係
③酪酸菌を増やす食べ物?
①腸内フローラとは?
人の腸内には、体内に存在する細菌のうち約9割が存在し、その数は約1000種類、100兆~1000兆個、重さにして約2kgと言われています。人体を構成する細胞の数が約60兆個ですから、細胞よりも多いことになります。
大腸に存在する腸内細菌は、菌種ごとの塊となって腸の壁に隙間なくびっしりと張り付いています。この状態お花畑(flora)にみえることから通称「腸内フローラ」と呼ばれています。正式名称は「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」といいます。
腸内フローラを構成している菌は、乳酸菌などの善玉菌、大腸菌などの日和見菌、ウェルシュ菌などの悪玉菌に分かれており、身体のためになる働きをする善玉菌を増やし、腸内環境をよくすることが現代人には必要とされています。
②善玉菌・酪酸菌の働きとは?長寿や感染症との関係
善玉菌は、食物繊維をエサにして腸内を弱酸性に保ち悪玉菌の発育を抑制する「酸」を作り出します。代表的な善玉菌として、乳酸菌やビフィズス菌が有名ですがこの2つの善玉菌は乳酸や酢酸を作り、悪玉菌の生育や増殖を抑えています。
一方、あまり聞きなれないですが、腸内で重要な働きをする「酪酸菌(らくさんきん)」。酪酸菌が腸に届いた食物繊維を発酵・分解して作り出す酪酸は、大腸でバリア機能などを担当する粘膜上皮細胞のエネルギー源として重要です。
また大腸の粘膜上皮細胞の代謝を促して酸素を消費させ、腸管内の酸素を減らし、酸素を必要とする悪玉菌を抑制し、酸素を必要としない乳酸菌やビフィズス菌が育つ腸内フローラの状態をよくする働きもあります。
このことが長寿に関係しています。男性の世界最高齢を記録し116歳で亡くなった木村次郎右衛門さんの出身地、京丹後市が注目されています。京丹後市の100歳以上の高齢者の割合が全国平均の2.8倍!
加えて、大腸がんの羅患率が京都市の半分、全国的に比べても認知症の発症率が少ない、高齢になっても血管年齢が低いなどの特徴が発見されています!
この研究は京都府立医科大学の疫学調査「京丹後長寿コホート研究」で発見されたもので、消化器内科学教室准教授の内藤裕二先生が京丹後市に住む65歳以上の人の腸内フローラを調査。
その結果、京丹後市に住む人において身体にいい作用をもたらす酪酸菌が、京都市の住民より多いことが判明しました。
また、東大名誉教授・微生物学の世界的権威、小柳津広志先生によれば感染症によって引き起こされる炎症は「腸内の酪酸菌を増やす生活習慣」によって抑えることができるという研究が発表されています。
酪酸菌が腸内で作る酪酸は、腸の粘膜を通過し、腸管内のリンパ組織に働き、制御性T細胞が増加して免疫力を増やすと考えられています。
③酪酸菌を増やす食べ物?
さて、いよいよ今回の記事の結論の終盤、あなたの興味がある「じゃあ、どうすれば酪酸菌は増える?」という疑問は当然浮かんできますよね?
ここで、京丹後市で行われた疫学調査「京丹後長寿コホート研究」で浮かび上がってきた食材をご紹介します!
残念なお知らせとして、直接「酪酸菌」を含む食材というのは、乳酸菌やビフィズス菌と違って少なく、台湾で食べられる臭豆腐ぐらいしかありません。
しかし、酪酸菌を増やすという観点でみてみると、ポイントは「食物繊維」でした。実際に京丹後市の疫学調査で浮かび上がってきた住民が良く食べている食品は、大麦ご飯、玄米ご飯、わかめなどの海藻、魚介類(かれい、煮干し、あご)、大豆、きのこなどです。
大麦には、βグルカンと呼ばれる水溶性食物繊維が豊富に含まれています。玄米には食物繊維のほか、白米に比べビタミンB群(B1、B2,B6,ニコチン酸、パテントン酸、イノシトール、コリン、葉酸等)が特に多く含まれています。
日本海側に面した京丹後市ならではの特徴として、海藻や魚介類の摂取量の多さも注目に値します。わかめやのりなどの海藻類は、アルギン酸という海藻のぬめり成分を含んでいます。酪酸菌のエサとなる食物繊維も多く含んでいます。
このアルギン酸は、血圧の上昇を抑制する効果やコレステロール値を下げる効果、ダイエットに対する効果、動脈硬化を予防する効果など様々な効果も持ちます。
日本には「まごわやさしい」という和食の伝統食材があります。『ま:豆』『ご:ごま』『わ:わかめ』『や:野菜』『さ:魚』『し:しいたけ』『い:いも』と言われる日本ではごくごく一般的な食材が長寿に関係していることはとても興味深いですね。